BUNGAKU@モダン日本_archives(旧・Yahoo!ブログ)

2005年2月18日〜2019年12月15日まで存在したYahoo!ブログのデータを移行しました。

2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

中国赴任中のNさんからのメール

その日,ふだんはそれほど混んでいない夕方の電車に,異常な数の人間が乗り込んでくるのに出くわして驚かされました。昨年の9月11日のことです。その日は,横浜国際競技場でミスチルのコンサートがあったのです。 11日と12日の2日間で動員した数は,“ミス…

大塚英志がやってくる

近現代文学関係の2つの学会が,偶然にも春季大会を“サブカルチャー”で行います。 いずれも興味深い発表や講演がずらりと並んでいて,ちょっとエポックメーキングな春になりそうです。 個人的には,早稲田大学で行われる昭和文学会(下段)に注目です。「物…

追悼 丹羽文雄

内田百閒忌の本日(4月20日)未明,風俗小説作家・丹羽文雄が享年100歳で亡くなりました。 「嫌がらせの年齢」(1947)「一路」(1962~66)「親鸞」(1965~69)「蓮如」(1971~81)などで知られる流行作家で,雑誌『文学者』を主宰して後進の育成にあた…

村上龍の「イビサ」を読む

イビサは,スペインのバルセロナから船で7時間、バレンシアから3時間くらいのところにある,ヨーロッパ屈指のリゾートの島です。夏は連日クラブでパーティーが繰り広げられるといいます。ヨーロッパ中から(アメリカや日本からも)バカンスにやって来た人…

「ノルウェイの森」―赤と緑の物語(補足&蛇足)

「ノルウェイの森」のワタナベにとっての大切な女性は,言うまでもなく直子と緑です。「ノルウェイの森」という物語を,「赤」と「緑」という2つの色を手がかりに読み解こうとするとき,小林緑という女性に「緑」という色をあてはめるとすれば,直子が「赤…

「HEART&SOUL」の夜

春なので歓迎会があったのですが,2次会で久しぶりに横浜関内のHEART&SOULに行きました。60年代から80年代のソウル,ロックやポップスの生演奏が聴けるパブレストランです。いつものように店主の原正行さんがギターとボーカルをつとめ,KDDのオペレータ…

「ノルウェイの森」―赤と緑の物語(その3)

キズキが自殺した日,ワタナベは四つ玉のビリヤードをしました。その2年5ヶ月後,ワタナベはハツミさんと四つ玉のビリヤードをします。ワタナベがハツミさんに会ったのは,その日が最後でした。ハツミさんは,キズキと同じようにワタナベと四つ玉のビリヤ…

「ノルウェイの森」―赤と緑の物語(その2)

「赤」と「緑」は「ノルウェイの森」に限らず,村上春樹の小説にとてもよく出てくる色彩です。これだけ出てくると,何か意味があるに違いないと勘繰りたくなるのが人情と言うものでしょう。 「緑のフェルトを貼ったビリヤード台」と「赤いN360」,そして…

「ノルウェイの森」―赤と緑の物語(その1)

1987年9月10日に刊行された村上春樹の『ノルウェイの森』は,上巻が「赤」で下巻が「緑」という,目にも鮮やかな色彩で装幀されています。 「赤」が基調色になっている上巻は,タイトルと著者名の文字が補色の「緑」になっています。表紙をめくった裏側にあ…

「山月記」のデクノボウ

岡野玲子のマンガ「陰陽師」第1巻(原作・夢枕漠/白泉社・1999年7月)にも登場する平安京のミステリースポットは,「羅城門」と呼ばれています。「羅城門」とは,「城を羅(めぐ)る門」という意味です。「城」とはこの場合「平安京」のことですから,「…