BUNGAKU@モダン日本_archives(旧・Yahoo!ブログ)

2005年2月18日〜2019年12月15日まで存在したYahoo!ブログのデータを移行しました。

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

カボチャ軍団の侵略

片づけ上手は日々の生活の中で持続的に身辺の整理整頓と清掃を進めていくものらしいのですが,そういうことが苦手な我が家では,エントロピーの増大則よろしく,気がつくとトンデモナイことになってしまっています。 そこで,時間に少し余裕ができると,一気…

瓢箪池の記憶―“震災後文学”としての「浅草紅団」(3)

瓢箪池の悲劇 「浅草紅団」の冒頭近くに,鯉に与えられた麩を食べるという奇矯なふるまいをする男が描かれています。 これはたんに,非日常的でシュールな出来事が描かれているということだけで済む話ではありません。 1929(昭和4)年に連載が始まり,「大…

鯉の上前をはねる男―“震災後文学”としての「浅草紅団」(2)

『浅草紅団』の断層 川端康成の「浅草紅団」を読み直すことになったきっかけは,昭和文学会2011春季大会で行われたシンポジウムでの田口律男さんの発表です。 事前に公表された報告要旨で田口律男さんはこんな風に書いています。 浅草紅団』には関東大震災と…

コンクリートへの偏愛―“震災後文学”としての「浅草紅団」(1)

モダニズム文学の傑作「浅草紅団」 1930年ごろに生まれた新しい芸術思潮を,モダニズム(近代主義)という言い方で表現することがあります。 新感覚派の有力メンバーとして1920年代に本格的な文学活動を開始した川端康成の小説にも,モダニズム文学という枠…