2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧
納棺夫の原体験 話題の映画「おくりびと」を観ないうちに,青木新門さんが書いた原作『納棺夫日記』を読んでしまいました。 遺体が棺におさめられるときの処置について具体的で詳細な描写があるのかなぁと漠然と思い描いていたのですが,どちらかと言うと,…
井伏鱒二が屁をこいた 太宰治の「富嶽百景」を久しぶりに読み直しました。 ここ数年の間に,敬愛する郡継夫さんの「『富嶽百景』について」(『現代文学史研究』第4集・2005年6月)や,糸井重里と同級生であることでも知られる関谷一郎さんの「『富岳百景』…
日和見主義ということ 『文藝春秋』4月号の「村上春樹独占インタビュー&受賞スピーチ―僕はなぜエルサレムに行ったのか」の中には興味をそそられる話がたくさん出てくるんですが,その中のひとつに「正論原理主義」と「日和見主義」の話があります。 村上春…
横光利一生誕111年 本日3月17日は新感覚派の作家として知られる横光利一(1998-1947)の誕生日です。 基本的には小説家ですが,「純文学にして通俗小説」などと提唱したり「四人称」という特異な概念を使ったりして大きな反響を呼んだ評論「純粋小説論」(1…
村上春樹の発言 『文藝春秋』4月号に掲載された「エルサレム賞」受賞スピーチに関するインタビューの中で,イスラエルは基本的に「ホロコーストの生き残りによって作られた国」だと語った後,村上春樹は父親の戦争体験に関して次のように述べています。 戦…
ジェフ・ベック&エリック・クラプトン 三大ギタリストのうち,ジミー・ペイジをのぞいた2人が同じステージに立つという話を聞いて,矢も楯もたまらず,チケットを購入しました。 2月21日(土),さいたまスーパーアリーナ,S席1枚1万7千円也! 家族…
壁とことば “壊れやすく脆弱な卵”である“私たち”は,好むと好まざるとに関わらず,“私たち”のあいだに“壁”を立ち上げてしまいます。 もちろん村上春樹が最初に言っているように,“bombers”(爆撃機/自爆テロリスト?)や“tanks”(戦車)もある意味では“壁”…
政治的な,あまりに政治的な… 「エルサレム賞」受賞スピーチの核心とも言えるメッセージ―“高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ”―を伝えるときに,村上春樹は「非常に個人的なメッセージをお話しすることをお…
大工が削除された理由 スピーチの冒頭で,「嘘つき」として村上春樹が列挙したのは,「小説家」のほかには,「政治家」「車のセールスマン」「肉屋」「大工」「外交官」「軍幹部」でした。 その中で,「車のセールスマン」「肉屋」「大工」の3つは,どうい…