BUNGAKU@モダン日本_archives(旧・Yahoo!ブログ)

2005年2月18日〜2019年12月15日まで存在したYahoo!ブログのデータを移行しました。

2015-01-01から1年間の記事一覧

「羅生門」よもやま話―日文協シンポジウム印象記(3)

(承前) 朗読少女・乙葉しおり オトバンクというベンチャー企業が提供している朗読少女というアプリがあります。 乙葉しおりというキャラクターが古今東西の名作を読み聞かせてくれるというアプリで,オーディオブックの販売で急成長しているオトバンクの人…

「羅生門」のファルスの行方―日文協シンポジウム印象記(2)

聖柄の太刀という表象 (承前) 『日本文学』4月号に掲載されるはずの「『羅生門』精読―法・倫理・信心」と題された石川巧さんの見事な発表の詳細については,ここではあまり深入りしません。 ただ,シンポジウムを聞きながら考えたことのいくつかを,忘れ…

「羅生門」の下人が聖柄の太刀を売らない理由―日文協シンポジウム印象記(1)

シンポジウム「定番教材を問い直す」 日本文学協会の第70回大会シンポジウムのテーマは「定番教材を問い直す―芥川龍之介『羅生門』」でした。 『帝国文学』に発表されてちょうど100年目にあたる今年は,第47回解釈学会全国大会が《「羅生門」百年記念…芥川龍…

編集後記(『現代文学史研究』第23集)デジタル版

おひさしぶりです。 ふと気づくと,9月の下旬以降,3カ月以上にわたって記事をアップしていないという事実に気づきました。 何も書いていなかったわけではなく,日々の暮らしに精一杯に向き合いつつ,あちこちにいろんなものを書き散らしておりました。 さ…

木村草太の日曜討論―テレビ番組の存在感低下とイケメン憲法学者の発話戦略

木村草太の討論戦術 毎日のように電車内で聴いている荻上チキ・Session-22でおなじみの憲法学者木村草太さんが,今年はついに本格的にテレビ進出! …と言っていいのかどうかはさておき,イケメン憲法学者としても知られる木村草太さんがNHKスペシャル「自…

8.30国会前デモへの道―戦後70年をめぐる随想(5)

国会前デモとBBQガーデン 8月30日(日)午後,再読し始めたばかりの梶井基次郎全集(ちくま文庫)を手に小田急線代々木駅に到着。 1時半ごろ,小田急線から千代田線に乗り換えると,初老の男女が手製のプラカードを持って両側の座席を占拠していました。 …

村山富市と安倍晋三,そして平成生まれの若者たち―戦後70年をめぐる随想(4)

平成生まれの若者が挑む70年談話 TBSテレビの報道番組NEWS23が8月13日と14日の2日間にわたって「私たちの戦後70年談話」という特集を放送しました。 24歳の永井洋右さんを最年長とする20歳前後の若者14人が,安倍首相の戦後70年談話の発表に合わせ,「平成生…

憲法の空文化―戦後70年をめぐる随想(3)

歴代天皇と日本国憲法前文 小学校の卒業記念に担任の先生が色紙を書いてくれました。 茅秋という号で書家としても活躍なさっていた中原先生の揮毫によるもので,個性に合わせて選ばれた文字にどのような思いが込められているのかを語りながら,一人ひとりに…

Yahoo!ブログがアクセス解析(無料)をリリース!

Yahoo!ブログのアクセス解析 Yahoo!ブログが【リリース報告】アクセス解析を発表して2週間。 訪問者数の増減に一喜一憂し,訪問者履歴を見てウキウキしていた草創期には想像もできなかったような状況が現実化しています。 私がアクセス解析の存在に気づいた…

ティム・オブライエン「待ち伏せ」(村上春樹/訳)に描かれた戦争―戦後70年をめぐる随想(2)

男が死のうとしている? 筑摩書房の『精選国語総合』という教科書に掲載されているティム・オブライエンの「待ち伏せ」(村上春樹訳)には,次のような不思議な場面があります。 手榴弾は一度跳ねて、それから道の上をごろごろと転がった。私にはその音は聞…

「平和のとりでを築く」を読む―戦後70年をめぐる随想(1)

子どもたちと読むヒロシマ 「平和のとりでを築く」という光村図書出版の小学国語教科書に収められた文章を読む機会がありました。 筆者は大牟田稔さん。 小学校6年生用の教材です。 国連のユネスコ憲章に言及しつつ,「原爆ドームは、それを見る人の心に平…

旧友との別れ

黄色いリボンとCHIYAMAとアイツ 8年前のMaydayの夜,私のブログのゲストブックにこんなメッセージが書き込まれていました。 間違っていたら大変失礼な話ですが、もしかして野中さんは茅ヶ崎市立西浜中学の卒業でしょうか? 柳島 海岸 K.N イニシャルに変え…

世界戦争のはじまりと横光利一のシンポジウム印象記

世界戦争のはじまり 立命館大学で開催された横光利一文学会の大会テーマは,「第二次世界大戦前夜の国際情勢と文学者」というものでした。 テーマを見た瞬間に思ったことは,あとから「第二次世界大戦」と名付けられた戦争を,その“前夜”の文学者たちはどの…

惨事を伝える者×惨事を観る者

ケロちゃん危機一髪 かつて教育出版の中学生用教科書の口絵に佐藤雅彦さんの『プチ哲学』が紹介されていました。 中学1年生用の『伝え合う言葉 中学国語1』に掲載されていたイラストは,次のようなものです。 ちなみにこれは,夏目房之助さんのマネをして…

大義なき戦いのスナイパー―敗戦後カルチャー論(5)

アメリカン・スナイパーのギルト クリント・イーストウッド監督の映画「アメリカン・スナイパー」を観てきました。 米軍史上最多、160人を狙撃した、ひとりの優しい父親。 彼は帰ってきた。心は戦場においたままで。 公式サイトのキャッチコピーです。 予…

「仁義なき戦い」の鬱屈と憤懣―敗戦後カルチャー論(4)

はじめての仁義なき戦い 昨年の暮れに高倉健と菅原文太が相次いで亡くなりました。 「幸福の黄色いハンカチ」や「トラック野郎」などは見ていましたが,「網走番外地」や「仁義なき戦い」には縁がなかった私。 恥ずかしながら先日,深作欣二監督の映画「仁義…

開設10周年記念「BUNGAKU@モダン日本」―10年前の記事とコメント

「BUNGAKU@モダン日本」の草創期 とうとうブログ開設10周年ですヽ(*⌒∇⌒*)ノ::・'゚☆。.::・'゚★。.::・'゚☆。ヤッター!! 何か記念に書きたいと思いましたが,年のせいか新しい記事よりは過去を振りかえることに心が動き,ブログをはじめた2005年の記事を気持ちのおもむく…

銭形平次と自衛隊―敗戦後カルチャー論(3)

科学特捜隊とウルトラマン 母校の東京学芸大学で「近代文学特殊研究」という講義を担当したことがあります。 1999年と2001年のことです。 「特殊研究」なのでCDプレーヤーを持ち込んで金延幸子やフラワー・トラベリン・バンドを流すなど,自由気ままに授業…

サバイバーズ・ギルトと自己責任論

有責性とサバイバーズ・ギルト まるで震災時のテレヴァイズド・カタストロフのような構図の中で,なすすべなく惨事を傍観してしまった私は,心の底に後ろめたさをわだかまらせたまま,今日もまたルーティンワークをこなす日常的な時間を過ごしました。 テレ…

アギーレ監督解任―ことばの力とサッカー日本代表の次期監督

日本サッカー協会の大仁邦弥会長は,スペイン時代の八百長関与疑惑で検察当局から告発されている日本代表のハビエル・アギーレ監督の契約を解除すると発表しました。 あらためて,サッカー日本代表の次期監督について,日本人監督待望論を掲げます。 日本サ…

日曜の朝に届いた最悪のニュースをめぐって

テレヴァイズド・カタストロフ 思い起こせば先週の殺害予告は,ユダヤ教の安息日(金曜の日没から土曜の日没)に合わせたものでした。 72時間の期限が切れるとされていたのは,日本時間の1月23日金曜日の午後2時50分ごろです。 今週,24時間の期限が切れると…

マツコデラックスの憂国とジャニーズの米国―敗戦後カルチャー論(2)

AKB48と東京オリンピック 数日前,マツコデラックスがAKB48が東京オリンピックでパフォーマンスをすることについて「絶対、開会式でやってほしくないね。開会式と閉会式に出ないんだったら何やってくれてもいいけど、開会式と閉会式は本当に恥ずかしくないも…

時代劇の全盛期―敗戦後カルチャー論(1)

時代劇というジャンル 「銭形平次」,「遠山の金さん」,「子連れ狼」,「水戸黄門」,「江戸を斬る」,「荒野の素浪人」,「木枯らし紋次郎」,「三匹の侍」,「破れ傘刀舟悪人狩り」,「必殺」シリーズ・・・以下省略。。。 かつて時代劇が栄えていた時代…