BUNGAKU@モダン日本_archives(旧・Yahoo!ブログ)

2005年2月18日〜2019年12月15日まで存在したYahoo!ブログのデータを移行しました。

2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

昭和天皇とミッキーマウスの腕時計―「風流夢譚」異聞(その1)

昨年9月にデンマークの新聞に掲載されたムハンマド(マホメット)の風刺画が,先月の初めになってヨーロッパ各紙に転載されたため,世界中のイスラム教徒が反発して大変な騒ぎになりました。事件の背景にはさまざまな問題が横たわっていますが,ヨーロッパ…

村上朝日堂へのメール

村上朝日堂ホームページが3月8日から3ヶ月限定で復活しています。最初は村上春樹の「あいさつ(voice/3秒)」とか「南青山『愛人カレー』対談(冒頭voice/約2分)」ぐらいしかコンテンツがなかったんですが,今日のぞきに行ったら「フォーラム」もアップさ…

三島由紀夫とユニクロのTシャツ

六本木ヒルズのロクロク星人やとんがり君のデザインと手がけた村上隆は,現代日本のポップカルチャーを代表するアーティストです。3年前には彼の作品である等身大フィギィア『Miss Ko2』が,ニューヨークのクリスティーズでなんと約6,800万円!で落札され,…

村上春樹の生原稿流出事件をめぐって(その4)

ヤスケン弁護(その2)―時代錯誤的セクハラおやじの悲劇… 志賀直哉の「『焚火』以下の諸短編」を「最も詩に近い小説」「最も純粋な小説」として絶賛したのは,『文芸的な、余りに文芸的な』(1927)を書いた芥川龍之介でした。志賀直哉の精密なリアリズム描…

村上春樹の生原稿流出事件をめぐって(その3)

村上春樹の手記「ある編集者の生と死―安原顯氏のこと」(『文芸春秋』四月号)に端を発した生原稿流出騒動に関して,ようやく“極悪人”のヤスケンを弁護するところにこぎつけました。 「泥棒にも三分の理」というレベルの話ではありますが,お読み頂ければ幸…

村上春樹の生原稿流出事件をめぐって(その2)

ヤスケンをなぜ弁護するのか… 「村上春樹をめぐる冒険」という書庫の記事を読んで頂ければわかりますが,私は村上春樹の愛読者です。 だから,というわけではありませんが,「ある編集者の生と死―安原顯氏のこと」(『文芸春秋』四月号)という手記に展開さ…

村上春樹の生原稿流出事件をめぐって(その1)

村上春樹が書いた「ある編集者の生と死―安原顯氏のこと」(『文藝春秋』四月号)を読みました。 生原稿流出事件を告発する手記です。扱われている問題が問題だけに,読んで気分がよくなるような文章ではありません。何だか胸のあたりがもやもやして,暗い気…

荻原浩の『明日の記憶』と“思い出されない記憶”

荻原浩の『明日の記憶』の「私」は,若年性アルツハイマーのために最後は妻の名前すら忘れてしまいます。 というか,記憶が決定的に損なわれていまい,目の前の女性が妻であることすらわからなくなってしまいます。 記憶がいかに大切なものか、それを失いつ…

荻原浩が『明日の記憶』で試みたこと

小川洋子の『博士の愛した数式』が投げかけている問題のひとつは,「記憶とは何か」ということでした。 渡辺謙主演で映画化される荻原浩の『明日の記憶』にも,若年性のアルツハイマーにかかってしまった男の姿を通して同じ問題が描かれています。 怖かった…

青空文庫のなかの茅ヶ崎ーおすすめの検索術

夏目漱石,森鴎外,芥川龍之介,横光利一,太宰治など,没後50年以上経って著作権の切れた作家のものを中心に,現在(2006年3月)までに5000編を超える作品を無料で公開している電子図書館「青空文庫」のことはもうご存じでしょうか。 近代文学の名作を読み…