BUNGAKU@モダン日本_archives(旧・Yahoo!ブログ)

2005年2月18日〜2019年12月15日まで存在したYahoo!ブログのデータを移行しました。

2014-01-01から1年間の記事一覧

“福島の現状”とクリスマスの約束―震災記(21)

福島の教員が語る福島の現状 福島県立安積黎明高校の今野充宏先生が,東京で開催された会合で配布した資料の中に,「今の福島県民の内面」の「大きな3つの特徴」が記されていました。 1つは「原発災害」の風化を求める暗黙の欲求があること。「原発災害」…

日本文学協会のシンポジウムと湘友会セミナー「教科書と文学」

シンポジウム「教科書と文学」@学習院大学 日本文学協会(日文協)の第69回大会が11月15日(土)・16日(日)の2日間,学習院大学で開催されました。 長い歴史を刻み,機関誌を月刊で発行している全国規模の学会ですが,近年のシンポジウムは100人に満たな…

悪食・鯨飲・甘食・粗食―有名作家グルメ喰いズ!

グルメ喰いズ 前書き(食前酒) “食べる”という営みは,“命”を頂くことによって“生”をつむぐことです。 “食べる”という営みは,人間というものが原子的な生命の延長線上にいる“欲望するチューブ”であるという現実を思い起こさせてくれます。 また,ときにそ…

先生はじつはお見合いをしていた?―夏目漱石「こころ」再読

100年目の「こころ」再読 石原千秋さん責任編集の『夏目漱石「こころ」をどう読むか』(河出書房新社)を読みました。 『朝日新聞』が今年の4月20日から100年ぶりに再連載している「こころ」は,教科書の定番教材としても読み継がれていて,多くの日本人が一…

震災後文学論(3)―梶井基次郎

桜の木の下には屍体が… ソメイヨシノが生まれたのは,江戸末期のことだと言われています。 種子で増えることがなく,接ぎ木でしか繁殖しないソメイヨシノは,すべて人工的に植樹されたものです。 公園や学校,街路や河川敷など,都市空間を整備する事業を行…

震災後文学論(2)―川端康成

震災後文学としての「浅草紅団」 1920年代末の浅草を舞台に,都市の周縁を生きる不良グループの少女弓子を追いかけながら,最先端の時代風俗を活写した『浅草紅団』(先進社 1930年12月)は,川端康成が生み出したの傑作と目されてきました。 ただし,「浅草…

震災後文学論(1)―芥川龍之介

関東大震災と芥川龍之介 昭和文学のはじまりを象徴する出来事として,関東大震災と芥川龍之介の死をあげることができます。 大正12年9月1日と昭和2年7月24日。1923年と1927年。およそ4年の時を隔てた2つの出来事は,一見まったく無関係にも見えます。 でも,…

定番教材「走れメロス」―佐郷屋留雄と転向文学

教材「走れメロス」の誕生 今年の2月に「走れメロス」は走っていなかった!? 中学生が「メロスの全力を検証」した結果が見事に徒歩という話題で注目された太宰治の「走れメロス」。 中学国語の定番教材です。 その「走れメロス」についての研究発表を聴く機…

夏休みの宿題と小保方問題―感想文と自由研究について

夏休みの宿題 地域によってはすでに2学期が始まっていて子どもたちの夏休みは終わりました。 ところが,夏休みが終わっても容易に終わらないのが夏休みの宿題です。 そして,夏休みの宿題の定番と言えば,自由研究と読書感想文です。 おそらくどちらの宿題…

死者のためのえびフライ―三浦哲郎の「盆土産」を読む

日本文学協会の国語教育部会夏期研究集会に出席するために,中学校の国語教科書に収録されている三浦哲郎の「盆土産」を読み直しました。 ちょうどお盆休みの真っただ中でもありますし,つらつらとレビューを書き留めてみます。 ネタバレを気にしなくてはい…

サバイバーズ・ギルト覚書―震災記(20)

サバイバーズ・ギルトはいつ生まれたか? 昨年放映された大河ドラマ「八重の桜」のヒロイン山本(新島)八重は,酸鼻をきわめた会津戦争の生き残りでした。 今年放映されている大河ドラマ「軍師官兵衛」の第1回は「生き残りの掟」というタイトルで放映され…

ことばの力とサッカー日本代表の次期監督

ワールドカップはこれから コロンビア戦の前に「なんでテレビはこんなにワールドカップ一色なんだ。いい加減にしてほしい」とぼやいている人がいました。 V9時代のジャイアンツをよく知るプロ野球世代の方でした。 たしかにワイドショーもスポーツニュース…

震災後文学として読む―中原中也「月夜の浜辺」

「月夜の浜辺」という詩/死 中原中也といえば「汚れっちまった悲しみに……」を思い浮かべる人が多いと思いますが,若い世代の日本人にとってはむしろ中学校の国語教科書に掲載されている「月夜の浜辺」の方がなじみ深いかもしれません。 月夜の晩に、ボタン…

復興公園の桜の木の下には―震災後文学論ノート2

大学通りの桜並木 NHKオンデマンドで「小さな旅 さくら道で~東京 国立市~」を見ました。 多彩な桜が織り成す並木道の映像は圧倒的でしたが,そもそもこの桜並木が関東大震災と関係していることを初めて知り,なおさら感慨深いものがありました。 東京高…

「夢で逢えたら」と「桜の木の下には」―震災後文学論ノート1

夢で逢えたら NHKSONGSプレミアム「薬師丸ひろ子」を観ました。 「潮騒のメモリー」はもちろん,「セーラー服と機関銃」「メイン・テーマ」「探偵物語」「Woman“Wの悲劇”より」などの懐かしのヒット曲。 薬師丸ひろ子の人生哲学が伝わってくる貴重なイン…

もと軍用滑走路に咲くクローン桜―団塊のソメイヨシノ考

桜ソングとソメイヨシノ 大震災が起こるちょうど1ヵ月前の2011年2月11日に「桜ソングと無縁社会」という駄文をエントリーしました。 同じ時代を生きているはずなのに,まるでパラレル・ワールドのようにそれぞれが別個の世界を生きている現代人が,何とか共…

ウィキペディアで作った暇つぶし文学者クイズ!

暇つぶし文学者クイズ! それでは問題です! ウィキペディアの記述に基づいて作りました。 有名な文学者についての以下の逸話のうち,正しいものを選びなさい。 (1)尾崎紅葉 死の床での最期の言葉はなんと,見舞いに来た人々が泣いている様子を見て言った…

やぎさんゆうびんの謎―まど・みちおさんの死を悼む

1939年に生まれた“永遠の詩” Led Zeppelinが「永遠の詩」(The Song Remains the Same)をリリースする30年以上も前の1939年に,たった2コーラスの“永遠の詩”を作った詩人がいました。 私が初めてその歌を聞いたのは,おそらくNHKの「みんなのうた」です。…

「BUNGAKU@モダン日本」開設9周年

本日めでたくブログ開設9周年とあいなりました。 2005年2月18日から3287日目になります。 コメント総数は先ほど来訪してくれた敬愛する犬ざえもんさんのものを含め,14831に達しました。 そのうち私自身のコメントが7776! ダントツです。 そ…

村上春樹の新作と「明日、ママがいない」騒動

「ドライブ・マイ・カー」の煙草ポイ捨て描写 北海道の町議会議員有志が質問状を送って抗議したことで,村上春樹の新作「ドライブ・マイ・カー」(『文芸春秋』2013年12月)に出てくる「中頓別町」という町名が,単行本として出版される際に変更されることに…

川島幸希著『国語教科書の闇』と定番教材の誕生

川島幸希著『国語教科書の闇』 昨夏,見事な筆致で宛名書きされた大きな茶封筒が届きました。 送り主は川島幸希さん。 封筒の中には,理事長・学長を務める秀明大学で開催された「芥川龍之介展」のパンフレットとともに,新潮新書から御著書が出ることとを記…

チョーヤ梅酒100周年×村上春樹の誕生日=梅崎春生の「桜島」再読?

1914年から100年 昨年は岩波書店や上智大学,トンボ鉛筆,救心製薬,ハウス食品などが創立100周年という節目の年を迎えました。 2014年の今年は,宝塚歌劇団や東京駅,平凡社,北里研究所が100周年を迎えます。 それから,横浜翠嵐高等学校,甘栗太郎,チョ…

つぶやきネットサービスとのおつきあい

ふと思い立ち2年ほど前につぶやき始めました。 でも,どういうことをつぶやけばいいのかよくわからず,短い文章表現を楽しむ気持ちで,のんびりと散発的につぶやいています。 過去のつぶやきの中から,いくつかコピペしてみます。 アクセル踏み込んでガンガ…

新年に思う若者の罪悪感―震災記(19)

新年のめでたさ あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願い申し上げます。 …と言いますけど,何がめでたいのかというと,皆で揃って齢を重ねたからです。 数え年が1つ増えるからです。 つまりは,みんなでいっしょにお誕生祝いをしているよう…