2008-01-01から1年間の記事一覧
星一徹はちゃぶ台返しをしなかった 『親と子の愛と憎しみと』(歴史と文学の会/編・勉誠出版)という本に収められている松村良さんの「星一徹・飛雄馬の《光》と《闇》―『巨人の星』に見る父子の愛憎」という論考を読みました。 アニメで何度も再放送され,…
ずいぶん前にアップしようとしたら,どういうわけか「不適切な文字列が…云々」ということではじかれてしまった拙文をアップしてみます。 拙著『橫光利一と敗戦後文学』第4部の冒頭部分です。今回は無事にアップできますかどうか…。 1 「ウィ・アー・ザ・ワ…
クリスマスの豊かさを共有できない人々のための歌 1984年の暮れにブームタウンラッツのボブ・ゲルドフが中心になってエチオピア飢饉救済のためにレコーディングされた『Do They Know It's Christmas?(ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス)』という曲が…
「蟹工船」ブーム 今年,プロレタリア文学を代表する作家小林多喜二の「蟹工船」(1929)が突如として売れ始めました。 格差社会でワーキングプアが増え,派遣労働者が搾取されまくっている世の中にあって,若者を中心に共感を呼んだというのがもっぱらの噂で…
ブログ検索から外された日 すご~~く久しぶりに,「ブログ的失敗。。。」の記事です(T_T) 2週間前の金曜日,「谷川俊太郎,ねじめ正一,八木重吉など―×××と近代文学(その2)」という記事をアップしました。 そのあと,いつものように記事で新たに取り上…
“斜陽の子”太田治子さんに遭遇 秋口から暮れにかけては学会シーズンで,会員ではなくても参加できるものも多く,著名な人を間近に見るチャンスです。 11月22日(土)に行われた日本文学協会の大会では,科学哲学の大家野家啓一さんの謦咳に接する機会を…
ことばの力 個人的に「×××」そのものに対する愛着や執着はありませんが,「×××」という言葉そのもの…というか,「×××!」という音のつらなりが持つ破壊的な“力”には一定の敬意(?)を払うべきかと愚考します。 小学生時代の給食の時間,ワラカシごっこをし…
近現代文学のタブーへの挑戦 性や暴力など従来の文学が正面から扱わなかったタブーへの切り込むことで,現代文学は新しい表現の領野を切り開いてきました。 障子をペニスで突き破った石原慎太郎(現東京都知事)の『太陽の季節』(1955)とか,麻薬とセック…
犬の文学 近代文学が始まろうとしていたとき,坪内逍遙や二葉亭四迷が乗り越えようとしていた古い文学は,滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』のような勧善懲悪の物語でした。 つまり,近代文学の最初の課題は,“犬の文学”を乗り越えることだったのです。 その名が…
11月11日はキャッツの日 去る11月11日,劇団四季のミュージカル「キャッツ」は25周年を迎えました。 11月11日が「ポッキー・プリッツの日」であることを知っている人は多いと思いますが,同時に「キャッツの日」でもあることはあまり知られていないかも知…
論文集『村上春樹と1980年代』刊行! 中央大学の宇佐美毅さんと東京学芸大学の千田洋幸さんが編集した論集『村上春樹と1980年代』が国文学研究関係の老舗出版社であるおうふうから刊行されました。 編者と同年代の研究者は少なく,ほとんどが気鋭の…
『リアルのゆくえ』で壮絶なバトル(?)を展開した大塚英志と東浩紀(※詳細は以前の記事参照)が提唱している「物語消費」と「データベース消費」について,村上春樹がらみで少しばかり考えてみようと思います。 物語消費と村上春樹の文学 まんが原作者の大…
…というわけで、 10ヶ月前の「予言」(2008/1/27(日) 午後 5:31)が的中してしまった。 予言をしたのは、まだ民主党の大統領候補指名選挙がはじまったばかりの頃である。 ヒラリー・クリントンが、まだまだガチで反オバマキャンペーンを展開していた頃のこと…
150000ヒット達成です! 左卜全とひまわりキティーズ 能勢慶子のアテンションプリーズ ジミー・ペイジ 藤沢の居魔阿仁 P-MODEL ランナウェイズのチェリー・ボム デビッド・バーン 吉祥寺のルシール ポール・ウェラー サザンビーチちがさきの浜磯 ギ・おなら…
…恐縮ですが、 ある種の間違いや迷路はゲームにリアリティを与える。 小さな嘘は大きな嘘を隠すし、小さな謎は大きな謎を隠す。 日常の忙しさは人生の無意味を忘れさせる。 ―小林長太郎 …である一方で、 どうせすぐに汚れるのだから、駅のホームを掃除するの…
バトル!大塚英志VS東浩紀 まんが原作者にして神戸芸術工科大学教授でもある大塚英志さんと,批評家で東京工業大学世界文化センター特任教授の東浩紀さんによる対談『リアルのゆくえ―おたく/オタクはどう生きるか』(講談社現代新書・2008年)を読みました…
放送禁止連発の伝説的カルトバンドと藤岡藤巻 観たいのにまだ観ていないたくさんの映画のうちの一つに,宮崎駿のアニメ「崖の上のポニョ」があります。 映画そのものもさることながら,藤岡藤巻と大橋のぞみによるポニョの歌のインパクトがなんとも強烈で,…
鶏頭の句で「ぎゃ‼」 9月19日は正岡子規(1967-1902)の命日,糸瓜(へちま)忌です。 享年34歳…。 俳句を作り,短歌を詠んだ明治時代を代表する文学者の一人です。 さらに,没後100年の2002年には野球殿堂入りを果たしていて,野球愛好者の草分け的存在…
14万ヒット記念! 2008年9月7日の午後5時すぎに,14万ヒットを記録しました。 いつも来て頂いている皆さん,ときどき来て頂いている皆さん, 以前来て頂いていた皆さん,偶然立ち寄った皆さん…, どうもありがとうございました! 「訪問者が10万人に…
あまりにアメリカ的?な日本社会 21世紀の日本にどっぷりつかって暮らしていると,あまりにも当たり前すぎて意識できなくなってしまうことというのがあるようです。 たとえば,昭和19年(1944)から21世紀の日本へとタイムスリップしてしまった『僕たちの戦…
金田一耕助という名前 横溝正史が生んだ名探偵「金田一耕助」をもじった「金第一好女(かねだいいち・こうすけ)」という迷探偵が登場するパロディー作品があるかどうか,寡聞にして知りませんが,「金田一(きんだいち)」と「金第一(かねだいいち)」では…
京都に行きます! 8月 30日(土)の午後1時半から立命館大学衣笠キャンパスで横光利一文学会の研究集会が行われます。 テーマは「東アジアネットワークのなかの横光利一」 。 村上春樹の記事ばかり書いていますが,卒論は横光利一だったので,それが専門だ…
金閣寺というメタファー 雑誌『三島由紀夫研究』の第6号「金閣寺特集」を読みました。 180ページの研究雑誌で,演出家の戌井市郎さんを囲む座談会「文学座と三島由紀夫」を巻頭にすえ,「『金閣寺』の位相」(大久保典夫),「『金閣寺』論―想像力の問題」…
全共闘世代の父母 「団塊の世代」と「全共闘世代」は,たぶん,ちょっと違います。 どちらも敗戦後の1947年から1949年ぐらいまでのあいだに生まれた世代を指す言葉ですが,「全共闘」というのは基本的には大学生が作った運動組織なので,大学に入学しないで…
闇を描く 村上春樹の『ノルウェイの森』が映画化されることになりましたが,文字表現と映像表現にはさまざまな違いがあります。 小説には描けないものもあれば,小説でしか描けないものもあるはずです。 もちろん,映像化されることによって,小説に描かれて…
トラン・アン・ユンの「夏至」 トラン・アン・ユン監督の映画「夏至」を観ました。 なぜ観たのかと言えば,村上春樹から『ノルウェイの森』の映画化を許された監督の映画だからです。 「夏至」は以前うちの家族がDVDを借りてきたことがあったので,すでに…
押井守はすごい先輩 NHK総合の「課外授業~ようこそ先輩~」(7月20日放送)にアニメ映画監督の押井守が出演しました。 「課外授業~ようこそ先輩~」というのは,各界の第一線で活躍する人々が出身校である小学校を訪ね,自分の専門を生かした特別授業を…
映画「ノルウェイの森」のキャスティング 村上春樹の「ノルウェイの森」映画化が決まりました。(前の記事「香椎由宇の直子と木村カエラの緑?」) キャスティングについては,「直子は香椎由宇で緑は木村カエラ」という2ちゃんねるの書き込みはなかなかい…
「ノルウェイの森」映画化 昨夕(30日夕),毎日jpに「村上春樹さんの人気小説『ノルウェイの森』が映画化されることになった。製作のアスミック・エース・エンタテインメント社が30日、発表した。脚本・監督は、ベトナム出身のフランス人のトラン・アン・…
ふたたび作中人物の排尿について 人間が生きていれば1日に何度もトイレに行きますし,ビールを飲めばその頻度も増します。 それでも小説の中ではいちいち作中人物がいつ用を足したのかについて描写しません。 『海辺のカフカ』の佐伯さんの排尿シーンなど,…