BUNGAKU@モダン日本_archives(旧・Yahoo!ブログ)

2005年2月18日〜2019年12月15日まで存在したYahoo!ブログのデータを移行しました。

2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

“THIS BIRD HAD FLOWN”の意味するもの

“Norwegian Wood”の背後には,“Knowing She Would”(彼女が自殺をしたいと思っていることがわかっている)ということばが隠されていました。だとすれば,身近な人間の自殺を防げなかったことに対する罪障感が深く影を落としている村上春樹の「ノルウェイの森…

中西秀彦『本は変わる! 印刷情報文化論』(2003年9月・東京創元社)

1990年代,グーテンベルクによる活版印刷の発明に匹敵する,印刷技術上の一大革命が進行していた。すなわちDTP(デスク・トップ・パブリッシング=机上出版)の出現と普及である。 書棚に並んでいる『ノルウェイの森』(1987)と『海辺のカフカ』(2002)は,…

「ノルウェイの森」とは何か

400万部を超えるベストセラーとなった村上春樹の小説「ノルウェイの森」。そのタイトルは,ビートルズの楽曲である“Norwegian Wood(This Bird Has Flown)”の日本語タイトルからとられています。歌詞の内容は,誘われて一夜をともにした男が女の子には手を出…

大塚英志『物語消滅論』(2004年10月・角川oneテーマ21)

ここまで書かれたら,さすがに文学研究者にも応答責任が発生してしまったのではないか,というのが読後の第一印象だ。『物語消費論―「ビックリマン」の神話学』(1989年5月・新曜社)の続編とも言える本書は,『キャラクター小説の書き方』,『「おたく」の…

白川正芳『埴谷雄高の肖像』(2004年10月・慶應義塾大学出版会)

はじめから伝説として存在してしまうという栄光と不幸を,埴谷雄高という作家は生涯にわたって背負い続けた。敗戦後の一九四六年(昭和21),比類のない独自の観念世界を長大な小説として語り始めた時に始まった埴谷雄高という伝説は,没後七年を経た今日に…

「ノルウェイの森」のビリー・ジョエル

“knowing she would”(彼女がそうしたいと思っていることはわかっている)をもじってタイトルが付けられたのだとも言われ,村上春樹の「ノルウェイの森」を語るときに常に言及され続けているのが,“Norwegian Wood”というビートルズの楽曲です。 でも,ハン…

横光利一文学会 第4回大会での発表に寄せて

◆ 2005年3月19日(土)に二松学舎大学で行われる横光利一文学会第4回大会に向けて,研究発表のねらいを記しておきます。 わだつみへの眼差し―『夜の靴』再読 2004年3月27日に行われた横光利一文学会第3回大会で,青山学院大学の日置俊次さんが「横光利…

横光利一文学会「第4回大会」

来たる2005年3月19日(土)午後1時30分から,二松学舎大学(九段キャンパス)で行われる横光利一文学会の第4回大会で,「わだつみへの眼差し―『夜の靴』再読」という研究発表をすることになりました。 他に,東京都立大学大学院生の米倉強さんの…

性と愛の日本語講座

小谷野敦さんが書いた『性と愛の日本語講座』(2003年6月・ちくま新書)という本があります。「パートナー」「恋人」「愛人」「情事」「人妻」「不倫」などの性愛に関することばを取り上げ,その由来や変遷を考察したものです。50万項目にも及ぶ膨大な収録…

教科書教材「こころ」の起源

早稲田大学の石原千秋さんは,近著『漱石と三人の読者』(2004年10月・講談社現代新書)の中で「こころ」が最初に教材化されたのは,1963年(昭和38)に発行された筑摩書房版『現代国語二』だと書いています。 関口安義さんが1982年に書いた「漱石と教科書」…