BUNGAKU@モダン日本_archives(旧・Yahoo!ブログ)

2005年2月18日〜2019年12月15日まで存在したYahoo!ブログのデータを移行しました。

2007-01-01から1年間の記事一覧

行方不明?kobachouさんの「負荷」の記事を転載して下さい!

小林長太郎さんは今いずこ? kobachouさんこと小林長太郎さん,Yahoo!IDで言うとrrrdx928さんの「負荷」は,もしもYahoo!ブログの歴史が書かれるとしたら,文学ブログ部門において特筆大書されるべき傑出したブログです。 膨大な数の記事を書きまくり,さま…

テクスト論のことなど―日本近代文学研究の終焉?(その2)

Yahoo!ブログのなかの漱石 国会図書館の「雑誌記事索引検索」で調べてみただけでも,いかに多くの人が漱石について語りたがっているかがわかります。漱石はやはり文豪です。国民作家です。千円札の肖像です(ただし先代)。。。 漱石の人気度をはかるために…

漱石研究の継承の不可能性―日本近代文学研究の終焉?(その1)

漱石シンポのレジュメの表紙 最初に掲げた画像は,二松学舎創立130年記念国文学シンポジウムのために作成したレジュメの表紙です。 B4判の用紙に両面印刷し,二つ折りにして4ページのレジュメを作りました。 その1ページ目(B5判)の表紙をスキャンし…

【お願い】kobachouさんの「負荷」の記事を転載して下さい!

小林長太郎さんは今いずこ? kobachouさんこと小林長太郎さん,Yahoo!IDで言うとrrrdx928さんの「負荷」は,もしもYahoo!ブログの歴史が書かれるとしたら,文学ブログ部門において特筆大書されるべき傑出したブログです。 膨大な数の記事を書きまくり,さま…

坊っちゃんと蕎麦屋―ラーメンと近代文学(番外編2)

ダーク一座 ちょっと乱暴ですが,すでに積み重ねられた文化的な蓄積を参照しながら読む行為を広く「データベース消費」と呼んでしまうならば,これは今にはじまった話ではありません。 たとえば,夏目漱石の「坊っちゃん」(『ホトトギス』1906)を読んでい…

俵万智の世界―チョコレート語訳に挑戦してみました!

俵万智の短歌革新運動(?) 村上春樹が『ノルウェイの森』を出したのと同じ20年前の1987(昭和62)年,短歌の世界に口語を大胆に持ち込んだ俵万智の『サラダ記念日』(河出書房新社)がベストセラーになりました。「カンチューハイ」や「サザンオールスター…

21世紀の「なんとなく、クリスタル」―小説表現の近未来

小説表現の1980年 1980年に文藝賞を受賞した田中康夫の「なんとなく、クリスタル」は,とても斬新な方法で書かれた小説として注目を集めました。 田中康夫というのはもちろん,参議院議員で新党日本の代表をつとめる,元長野県知事の田中康夫です。“ヤッシー…

『風の歌を聴け』再読―ジョニー・ウォーカーと「カラスと呼ばれる少年」

猫殺しのジョニー・ウォーカーとカラス殺しの知事さん 『海辺のカフカ』(2002)の田村カフカ少年が「カラスと呼ばれる少年」でもあるとすれば,その父・田村浩一は“猫殺し”ジョニー・ウォーカーでもあります。 そして,猫好きのナカタさんがジョニー・ウォ…

ここはどこ? わたしはだれ?―続・「ノルウェイの森」のビリー・ジョエル

「ノルウェイの森」のビリー・ジョエル 村上春樹の『ノルウェイの森』の冒頭シーンで,ハンブルグ空港に降り立った「僕」が聴く曲は,じつはビートルズの「ノルウェーの森」だけではありません。 気にする人はあまりいませんが,北海の上空に浮かんだ暗い雲…

生の一部として存在する死―『ノルウェイの森』と『魔の山』

尾崎豊を堂々とパクる(?)リリー・フランキー リリー・フランキーの『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』に,尾崎豊の「十五の夜」のフレーズをもじった次のような一節があります。 単純な恋は複雑な涙で幕を閉じた。学校に行くのが俄然嫌になった…

ワインを飲んだ夜と「ノルウェイの森」の朝―そして小鳥は飛び去った。

村上春樹の「ノルウェイの森」には,ビートルズの“NORWEGIAN WOOD”(ノルウェイの森)の歌詞の世界が色濃く投影されている場面があります。 ビートルズの“NORWEGIAN WOOD”の歌詞の世界・・・まずは,ごくごく簡単に紹介しておきます。 誘われて女の子の部屋…

日曜日の朝に水仙の花を―「ノルウェイの森」とナルシスの物語

水仙の花と都電 『ノルウェイの森』の上巻で「僕」(ワタナベ)が緑の家を訪ねる場面があります。 1969年の秋,9月の第3週(または第2週)だと思われる月曜日に,「演劇史Ⅱ」の講義がありました。エウリピデスをテーマにした講義が終わり,「僕」がレスト…

机龍之助の老巡礼殺しと平将門の怨霊―続・「大菩薩峠」殺人事件

売れっ子挿絵画家・井川洗厓の凡ミス 1913(大正2)年9月12日(金),大衆文学史上に残る一大長編小説,中里介山の『大菩薩峠』が『都新聞』を舞台に連載され始めました。 挿絵を担当したのは,井川洗厓(いがわ・せんがい/井川洗涯)。当時『都新聞』の…

ホントはマジメな私の,ちょっと前向きな話題です―漱石のシンポジウム

ちょっと前向きな話題です ロマンチストであり続けるためには,少なくともそれと同じ絶対値だけ,リアリストでなければならない。 …というようなことを,たしか庄司薫が言ってました。すっかりナットクさせられた高校生の私が,深く心に刻んだ金言です。 こ…

自己療養へのささやかな試みとして―『風の歌を聴け』について

もちろん問題は何ひとつ解決してはいないし、語り終えた時点でもあるいは事態は全く同じということになるかもしれない。結局のところ、文章を書くことは自己療養の手段ではなく、自己療養へのささやかな試みにしかすぎないからだ。(村上春樹) 『風の歌を聴…

ハードロックとテロリスト―9・11をめぐる随想

暴力衝動の発露 10代の私は,破壊的に大きな音を出すハードロックが好きでした。 重く歪んだギターのリフと, 太くて硬いベースのビート。 激しい肉体の躍動を感じさせるドラムの響きに, 鍛え上げられた腹筋なしでは不可能なテンションで繰り出されるボーカ…

“メリケン粉”文学史のための覚書―ラーメンと近代文学(番外編)

VJ-Dayと広島風お好み焼き? 日本では8月15日が“終戦記念日”ですが,アメリカのトルーマン大統領は9月2日を“対日戦勝記念日(VJ-Day)”としました。 また,中国では9月3日を“抗日戦争勝利記念日”にしています。 メリケン粉の国も支那そばの国も,…

支那そばとメリケン粉―ラーメンと近代文学(その6)

ラーメン文学は敗戦後文学だった! ラーメンが近代文学に登場するのは,敗戦後のことです。 もちろん「支那そば」や「中華ソバ」なら,牧野信一の「鱗雲」(1927)や宮本百合子の「一太と母」(1927)などのように1920年代から用例は見つかりますし,1930年…

手打ちの支那そばと投書狂―ラーメンと近代文学(その5)

ラーメン文学の最高傑作? モコモコさんから頂いたバトンがきっかけで,“ラーメンと近代文学”というお馬鹿なシリーズが始まったわけですが,早くも第5弾!となりました。 いったいこんな下らない与太話をいつまで続けるのかといぶかしくお思いの方もいらっ…

ラーメンを二杯食う物語―ラーメンと近代文学(その4)

ラーメンの近代文学 「支那ソバ」とか「中華そば」とか「ラーメン」が登場する“ラーメンの近代文学”を書いた作家たちとして,豊島与志雄,牧野信一,夢野久作,宮本百合子,林芙美子,太宰治などの名前をあげることができます。 なかなかユニークな顔ぶれな…

そば屋の二階という空間―ラーメンと近代文学(その3)

太宰治の支那そば 「女流作家」とか「女子マラソン」とか「女相撲」などという言葉があります。 たんに「作家」とか「マラソン」とか「相撲」と表現するのではなく,「女流」とか「女子」とか「女」という言葉がつけ加えられているところがミソです。 これら…

「探偵小説十戒」の“怪しげな中国人”―ラーメンと近代文学(その2)

中国人はヤバイ? 中国製品の信頼性が問題になっています。 結局は“やらせ”であるという話に落ち着いたようですが,段ボール紙に特殊な処理をして肉まんに混ぜているというニュースがまことしやかに伝えられました。 事実が明らかになってみると,「そもそも…

70,000ヒット達成と広島の原爆忌―数字の意味を考える

昨夜,おかげさまで7万ヒットを達成しました。 これまでにアクセスして下さった皆様,どうもありがとうございました。 7万に達したのは,ちょうど私がサザンビーチちがさきの砂浜で花火を眺めていた時間帯のはずです。 (今年は台風の影響で1日順延され,…

さようなら,阿久悠さん―日本語ロック論争と“曲先”の作詞家

作詞家の阿久悠さんが亡くなりました。 「日本語ロック論争」を書いたときに, 先にメロディーがあってそこに詞を当てはめていく“曲先”(きょくせん=メロ先)タイプの作詞家としては, 漣健児さんとならぶ重要な存在だと考え, 阿久悠さんの作品世界を探索…

「支那ソバ」は差別語か?―ラーメンと近代文学(その1)

青空文庫のなかのラーメン “ラーメンと近代文学”について考えるのなら,まず最初に行うべきは青空文庫の検索です。 古生物学者が年代測定をするときに放射性同位元素の分析をあてにするのと同じぐらい,青空文庫の検索は,近代文学研究の世界では一般的な手…

小田実さんの死を悼む―白墨で書かれた「民主・自由・軍事力…」

今朝,午前2時5分に,作家の小田実さんが亡くなりました。 昨年の11月18日に京都の立命館大学で「私とアメリカと文学」という講演を拝聴した時が,直接お会いした最初で最後の機会となりました。(上の写真) 体調に不安があるということについてはあの日…

3ヶ月熟成!ラーメンバトン♪―バトンのブラックホール11

『書とともに、町へ出よう。 』の,モコモコさんから廻ってきました。 ラーメンバトン♪です。 現地で写真を撮影して来たかったので,ずいぶん長いことお待たせしてしまったんですが, ようやくアップの運びとなりました。 1.好きなラーメンの種類をいくつ…

コンプレックスと文学―河合隼雄さんの訃報に接して

『コンプレックス』という名著 物事を考える上で,決定的な影響を受けた本が何冊かあります。いずれも20歳前後の時期に読んだ本ばかりですが,その後,何百冊と読んだ本と比べても,その輝きはいまだに色あせません。 7月19日に亡くなった河合隼雄さんの『…

映画『空中庭園』(小泉今日子主演)―ホテル野猿とモザイクモール

豊田利晃監督,小泉今日子主演の映画『空中庭園』をDVDで観ました。 原作を読んだあとでしたが,かなり楽しめました。 映画を観ていて気づいたことを書き留めてみます。 ディスカバリー・センター 小説の中で重要な役割を果たしているのが,巨大ショッピ…

半藤一利さんの講演とベートーベンの「運命」を聴いた午後

土曜の午後 仕事を早めに切り上げて,半藤一利さんの講演を聴きにいきました。 現役時代は文芸春秋の敏腕編集者として活躍し,近年は“歴史探偵”として数々の著作を出している半藤さん。私は『漱石先生ぞな、もし』以来のファンです。 で,じつは10年ほど前に…