BUNGAKU@モダン日本_archives(旧・Yahoo!ブログ)

2005年2月18日〜2019年12月15日まで存在したYahoo!ブログのデータを移行しました。

2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

カタストロフの続き―『神の子どもたちはみな踊る』(5)

釧路・秋葉原・小伝馬町 連作短編集『神の子どもたちはみな踊る』に収められた6つの短編小説のうち,3つまでが東京を舞台としていて,阪神・淡路大震災の後の1995年2月という時空を舞台としていると考えれば,読者としては作中人物がこの後に地下鉄サ…

震災とテロのはざまで―『神の子どもたちはみな踊る』(4)

2つのカタストロフのあいだで 『神の子どもたちはみな踊る』に収められた小説が,「震災の後で」と名づけられた連作短編集でありながら,阪神・淡路大震災から遠く隔たった場所を舞台としているのは,生まれ育った神戸と生活の拠点としていた東京で続けざま…

ふたたびロンブー淳の語り口について―震災記(12)

ロンブー淳と釜石 東日本大震災が起こってまもなく,ロンブー淳がツイッターで被災地のための支援物資集めを呼びかけました。 ロンブー淳のつぶやきをフォローしていた多くの人びとが賛同し,東京だけでカイロ約2万個,乾電池約1万個,懐中電灯約300個…

ぼんやりとした後ろめたさ―『神の子どもたちはみな踊る』(3)

喪失感が隠蔽するもの 村上春樹の小説の魅力は,しばしば“喪失感”という言葉で語られてきました。 『風の歌を聴け』,『1973年のピンボール』,『羊をめぐる冒険』をはじめ,『ノルウェイの森』や『ねじまき鳥クロニクル』,『海辺のカフカ』といった小…

テレヴァイズド・カタストロフ―『神の子どもたちはみな踊る』(2)

テレビの功罪,ツイッターの功罪 「テレヴァイズド・カタストロフ」というのは,精神科医の中井久夫さんの言葉です。 テレビで国民が戦闘場面をみる戦争を「テレヴァイズド・ウォーtelevised war」というのは、『タイム』で知っていた。ベトナム戦争はアメリ…