BUNGAKU@モダン日本_archives(旧・Yahoo!ブログ)

2005年2月18日〜2019年12月15日まで存在したYahoo!ブログのデータを移行しました。

2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「1973年のピンボール」と「ラバーボール」

村上春樹の「1973年のピンボール」をとりあげて,柄谷行人という批評家が面白いことを言っています。「1973年のピンボール」というタイトルが,ノーベル賞作家大江健三郎の傑作「万延元年のフットボール」のパロディになっているというのです。 たし…

「ニッポニアニッポン」と「ボヘミアン・ラプソディ」(その2)

18歳になった鴇谷(ときたに)春生は,“ニッポニアニッポン”の「密殺」ないしは「解放」をもくろんで,佐渡トキ保護センターを襲撃し,警備員を殺してしまいます。そして,逃走用のレンタカーで,ラジオから流れてくる「聴いたことのない洋楽の曲」と出会い…

発想転換,トラックバックはこんなに簡単!

以下の記事は,たくさんの批判を頂いた問題含みのものです。この記事を読む方は,安易に読み流すことなく,どういう批判があったのか,何が問題であったのかということを,批判コメントなどを読んで考えて頂ければ幸甚です。自戒のために,また教訓として,削…

「ニッポニアニッポン」と「ボヘミアン・ラプソディ」(その1)

「グランド・フィナーレ」で2004年度下半期の芥川賞を受賞した阿部和重ですが,どうせなら「ニッポニアニッポン」(2001年8月・新潮社)で賞を与えるべきだったという声があります。 確かに,幼児ポルノの撮影を趣味とするロリコン男が登場し,奈良の女児誘…

悪友S氏と「赤色エレジー」の思ひ出

「泥酔楼日乗リターンズ」↓という悪友S氏のディープなブログを使って,初のトラックバックに挑戦です。 http://blog.livedoor.jp/scighemi/ 上記のブログの中でS氏は,業田義家の「自虐の詩」という漫画の魅力を語っています。 私のまったく知らない漫画で…

『海辺のカフカ』と漱石

14歳の田村カフカは,深夜バスで東京から四国の高松へと向かう車中で,15歳になります。大江健三郎の「セヴンティーン」や中上健次の「19歳の地図」などと同様に,田村カフカが15歳であることには重要な意味が隠されているような気がします。 “15歳”という年…

さすがYahoo!ブックスですね。

『横光利一と敗戦後文学』(笠間書院)という本を出しました! 装幀は,友人の安藤聡さんに手がけてもらいました。ごらんの通り,とても美しい装幀です(写真が今ひとつなんですが…^^;)。表紙に使われているのは,じつは横光利一のデスマスクです。髪の毛の…

ホームページランキングネットへの挑戦

ホームページランキングネットというやつに登録してみました。 よくわからないんですが,とにかくモノは試し。 指示の通りに手続きを進め,登録しちゃいました。 それから,サイズ変えたり,色をつけたり, というワザにもトライです!! とにかく, 「迷っ…

定番教材の法則(その2)―森鴎外「高瀬舟」

森鴎外の「高瀬舟」は1912年(明治45)1月に発表された短編小説です。100年近く前に《安楽死》の問題を取りあげた先駆的な小説として知られ,国語の教科書の“定番教材”の一つでもあります。主な登場人物は,江戸時代の寛政年間に,弟殺しの罪で島流しになる…

定番教材の法則(その1)―新美南吉の「ごんぎつね」

夏目漱石の「こころ」という小説は,1956年(昭和31)11月に『高等国語二』で初めて教材化されました。採録されたのは「上 先生と私」の一節です。その後,1963年(昭和38)に発行された筑摩書房版『現代国語二』では,「下 先生と遺書」の一節が採録されて…

Kとキズキ

村上春樹のことを「平成の漱石」と言ったりすることがあります。なるほど敗戦後に教科書に掲載されて一気に読者を増やした「こころ」と,村上春樹の名を広く一般読者に認知させるきっかけになった「ノルウェイの森」は,小説世界を覆う雰囲気に相通じるもの…

大塚英志,昭和文学会に降臨!?

6月11日(土)の昭和文学会春季大会(13時から/於,早稲田大学・小野講堂)に, 漫画原作者で評論家でもある大塚英志氏を来ることがほぼ決まりました。 大会テーマは, 「サブカルチャーと文学―少年少女をめぐって」です。 当日は,大手出版社の漫画編集者…

“平生”のK=“生前”のK

辞書を引いていると,ときどきぎょっとすることがあります。わかっていたはずのことばに,未知の意味が秘められていたことに気づいて,驚かされるのです。夏目漱石の「こころ」に頻出する「平生」ということばの意味を改めて調べてみたときもそうでした。 「…