BUNGAKU@モダン日本_archives(旧・Yahoo!ブログ)

2005年2月18日〜2019年12月15日まで存在したYahoo!ブログのデータを移行しました。

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ラカンの鏡像段階論とナルシスの神話―鏡と文学をめぐる断章

ラカンの鏡像段階論 精神分析学者のジャック・ラカンが人間の自我が生まれる過程についての独自の理論を構築し,「鏡像段階論」を唱えたことはよく知られています。 ラカンの「鏡像段階論」が想定するのは,幼児が鏡に映る自分の姿を見ることによって,自分…

200Q年の桜桃忌―満100歳の太宰治を思う

満100歳の太宰治 今年(2009)の元旦の朝刊に,太宰治と松本清張が共に今年で生誕100年を迎えることを紹介した新潮文庫の全面広告が掲載されていました。 1930年代から40年代にかけて活躍し,敗戦後の1948年6月に玉川上水で心中して波乱の生涯を終えた太宰…

『1Q84』に関するネタバレにならないけど赤面必至の読後メモ

恥ずかしい名前その1―ふかえり 「ふかえり」という名前は,深キョン(深田恭子)とサトエリ(佐藤江梨子)を合体させたみたいで,何だかあからさまな感じがするわけですが,もしかすると深津絵里?って思わせるところを含めて,作中人物の名前としてはどこ…

自己像の起源―鏡と文学をめぐる疑問

江戸時代の青年の自意識? 「司馬遼太郎を読む会」というのを始めることになり,淡路島の貧農に生まれた高田屋嘉兵衛(1769‐1827)の生涯を描いた『菜の花の沖』(全6巻)を手始めに読んでいたら,第1巻の中にこんな描写が出てきました。 嘉兵衛は弥右衛門…

『1Q84』(2) に関するネタバレになるかもしれないコメント大歓迎の感想

続編は『1Q85』か,はたまた『200Q』か? 事前予約して購入した村上春樹の『1Q84』を昨日ようやく読み終わりました。 まず触れなくてはいけないのは,〈BOOK 2 終り〉という末尾の言葉です。 第一巻の最後にあった〈BOOK 1 終り〉と同様の言葉…

『1Q84』(1) に関するたぶんネタバレにならないトリビアルな感想

1Q万ヒットの記念に おかげさまで,一昨日,19万ヒットを達成しました。 11~13万ヒット,17~18万ヒットと記念記事を書いていなかったので,全部まとめて「1Q万ヒット記念」ということで記事を書きます。 村上春樹の『1Q84』の読後感です…

ちいちゃんを殺したもの―あまんきみこを読む(その4)

ファンタジックな死の影 あまんきみこさんの「おにたのぼうし」や「白いぼうし」には,“死”が影を落としていました。 存在自体が“悪”であるという現実を突きつけられ,居場所を失ってしまったおにたは,女の子のために黒い豆になって死んでしまったのでした…