2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧
ラカンの鏡像段階論 精神分析学者のジャック・ラカンが人間の自我が生まれる過程についての独自の理論を構築し,「鏡像段階論」を唱えたことはよく知られています。 ラカンの「鏡像段階論」が想定するのは,幼児が鏡に映る自分の姿を見ることによって,自分…
満100歳の太宰治 今年(2009)の元旦の朝刊に,太宰治と松本清張が共に今年で生誕100年を迎えることを紹介した新潮文庫の全面広告が掲載されていました。 1930年代から40年代にかけて活躍し,敗戦後の1948年6月に玉川上水で心中して波乱の生涯を終えた太宰…
恥ずかしい名前その1―ふかえり 「ふかえり」という名前は,深キョン(深田恭子)とサトエリ(佐藤江梨子)を合体させたみたいで,何だかあからさまな感じがするわけですが,もしかすると深津絵里?って思わせるところを含めて,作中人物の名前としてはどこ…
江戸時代の青年の自意識? 「司馬遼太郎を読む会」というのを始めることになり,淡路島の貧農に生まれた高田屋嘉兵衛(1769‐1827)の生涯を描いた『菜の花の沖』(全6巻)を手始めに読んでいたら,第1巻の中にこんな描写が出てきました。 嘉兵衛は弥右衛門…
続編は『1Q85』か,はたまた『200Q』か? 事前予約して購入した村上春樹の『1Q84』を昨日ようやく読み終わりました。 まず触れなくてはいけないのは,〈BOOK 2 終り〉という末尾の言葉です。 第一巻の最後にあった〈BOOK 1 終り〉と同様の言葉…
1Q万ヒットの記念に おかげさまで,一昨日,19万ヒットを達成しました。 11~13万ヒット,17~18万ヒットと記念記事を書いていなかったので,全部まとめて「1Q万ヒット記念」ということで記事を書きます。 村上春樹の『1Q84』の読後感です…
ファンタジックな死の影 あまんきみこさんの「おにたのぼうし」や「白いぼうし」には,“死”が影を落としていました。 存在自体が“悪”であるという現実を突きつけられ,居場所を失ってしまったおにたは,女の子のために黒い豆になって死んでしまったのでした…