【承前】これからの「国語科」の話をしよう!(あと105日)
高大接続システム改革
大妻女子大学で開催されたワークショップの「リプライと改革病の背景」で紅野謙介さんは,「高等学校教育改革・大学入学者選抜・大学教育改革」が「高大接続改革の3点セット」であるという基本的なポイントを的確に指摘しています。
言い換えれば,高等学校と大学の教育を改革するためには,大学入試に手を付けるのが手っ取り早いという話であり,そこを変えなければ高等学校の教育が変わらず,その前段階の義務教育も変わらず,大学改革も進まないということなのでしょう。
そしておそらく,中教審の方々が意図しているか否かは別として,今回の高大接続改革は,「高等学校教育の再定義・大学入学者選抜システムの解体・大学教育への最後通牒」という「高大接続システム解体の3点セット」として機能してしまう可能性があります。
学習指導要領が定める苦役に近い「勉強」,偏差値を上げるための戦略的な「勉強」,何の役に立つのかわからず面白さを感じることもない「勉強」を,テクノロジーの助けを借りながら最低限の時間でクリアし,やりたいことをやりたいように学び続ける生活を満喫することを可能にしようとしているN高等学校のような中等教育の出現は,「高大接続システム解体」の時代を象徴する出来事なのかもしれません。
実現するかどうかは不透明ですが,年明け早々に流れた「高校普通科の抜本改革」というニュースも,こうした時代の動きと結びつくものなのかもしれません。
「進学校から通信制に転入した僕のすべて。」を書いた木下拓哉君のような高校生が,数万人規模でスポイルされかかっていた可能性を開花させ始めた時,この国の教育がどんなふうに変わっていくのか,かつて「遅刻常習犯以上,登校拒否未満。」だった過去を持つ私には,とても楽しみなのです。